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チビ姫2号がやってきて、間もなく1ヵ月になろうとしている。



彼女はまだ2歳なのだが、しゃべり方に特徴があって、なかなか面白い。



これくらいの子の会話はオウム返しに展開していくのがふつうだと思っていたが、彼女は、ちょっと違うことに気がついた。



なにか、考えているのだろうか、と思わせるような間合いで返してくるのだ。



チビ姫1号に「2号が全部マネするから気をつけて」と、小声でささやくように1号の行いをたしなめてきたことはすでに書いた。



ある日、1号に向かって、

「そういうことはしてはいけないよね。どうしてか、わかるだろ?」

と耳元で注意を与えた。



1号も「うん、うん」と、小声で返してきた。



すると、このやりとりに無関心であるかのような素振りで遊んでいた2号がやおら振り返って口を開いたのだ。





「A(2号の名)が、マネするからね」





そう言ったのだ。



1号は、びっくりした様子で2号を見つめ、「わかってるんだぁ~」と、笑いながら感心していた。



2号はダンボのようにして人の話を聞き、そのうえ見事な間合いでボケツッコミの高等テクニックを披露したのだ。





じつは、しばらく前からわたしは、この子はあなどれない、と思っていた。



ある晩、チビ姫どもが寝静まって、やれやれ、という気分で酒をちょいとなめながらズワイガニを食べたことがあった。

小ぶりだったが、味は濃厚で、さすが本ズワイだわい、などと思いながら、しゃぶったり、せせったりして堪能。



食べた後の殻をボールに入れ、台所の床の片隅に置いて眠りについた。



翌朝のことである。



チビ姫2号が、その残骸の入ったボールを指さして、



「これ、な~に?」



と、わたしに訊いてきた。



内心「しまった、チビ姫どもに見えないように始末すべきだった」と思いつつも、



「カニだよ、カニの殻だよ」と、教えた。



その時も「カニの殻?」とオウム返しに言葉を発するのだろうと待ちかまえていた。



しかし、彼女は残骸をジッと見つめたまま沈黙している。

なにを考えているのだろうか。

そう思わせる「間」である。



そして、おもむろに、低い声で言ったのだった。





「食べたな~」





ドキリとした。

なんだか、盗み食いを発見されたような気にさせられる切り込み方に、わたしは罪悪感でタジタジになり、



「ごめん、食べちゃった」



と、思わず2歳の孫娘に謝ってしまった。







そこで、ずいぶん昔のことがよみがえってきたのだ。

それはチビ姫2号の母親である。

つまり、わたしの娘であるが、彼女がまだ小学生の頃だったと思う。



「ご飯食べるの? それともお酒?」



娘がぶっきらぼうに訊いてきた。

おそらく母親に頼まれたのだろう。



「酒飲む」



そう答えたら、娘は、こう言った。



「また飲むのぉ」



カチンときた。

娘に、そんなことを言われる筋合いではないだろう、と思って、つい言ってしまった。





「いいだろ、仕事が終わった時くらい酒を飲んだって」





言った後になって小学生の娘相手に言い訳がましいことを言わんでもいいのに、と気がついてうろたえた。



娘はなにごともなかったように、「あっ、そう」とクールに言って背を向けたのだが、この情景がチビ姫2号の「食べたな~」のひと言から思い出されたのは、なぜだろう。





小学生であろうと、2歳であろうと、女のなにげないひと言にはなにやら不思議な圧迫感をともなった強さを持っているのではないだろうか。



こちらはなにも悪いことをしているわけではないのに身を縮めたくなるような物言いを感じるのだ。



息子に「ご飯? お酒?」と訊かれたら、「酒だ」と返すだけで会話は成り立つ。

相手が男なら言い訳もいらない。



しかし、2歳のチビ姫が「食べたな~」と、あるいは小学生だった娘に「またぁ~」と言われたとたんに責められているような重たい感覚になるのは、なぜなのだろう。



考えてみれば、家人と相対していても同じである。



「コーヒーにする? それともお茶がいい?」



と親切に優しく訊いておきながら、わたしが、



「お茶がいい」と答えると、



「え~ッ、お茶ぁ~」と思いきっり不満をぶつけてくる。



まるでお茶を所望するなんて不届き千万、10年早いわ、と言わんばかりで、わたしは、「なんのために訊くんだよ」と思いつつ、しようがなく、



「じゃぁ、コーヒーでいいよ」



という具合に圧力に屈してしまうのだ。



この真綿でしめつけられるような圧迫感。

これが家人から娘へ、娘から孫娘へと見事にコピーされ、受け継がれているようなのだ。



そして、チビ姫2号の繰り出すボケツッコミは、ボケ資質を強く持っている家人と、クールな厳しいツッコミで周囲をおそれさせる娘のDNAが、うまい具合にチャンポンされたものであることは、ほぼ間違いないことである。
2008.12.08 / Top↑
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