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昨日はラジオで大相撲を楽しんだ。

解説が元大関貴ノ浪の音羽山だったからだ。

この人の解説は、面白い。



北の富士がぶっきら棒の辛口解説、舞の海は技の説明に精緻をきわめていて、なるほどな、と思わされ、これはこれでたいへん勉強になり、面白い。



では、音羽山は…。

なんと言っていいのか、わからないけれど、この人の話っぷりが面白いのだ。



その面白さを知るには、現役時代を知らなければならない。



たとえば、彼は上背が196センチもある大型力士なのに、相手が巨漢の曙とか武蔵丸とか、あるいは突き押しの力士たちがドッカーンと当たってくる瞬間、彼は顔をそむけ、目をつむっているのである。

とくに曙の突っ張りの威力を減らすためにという理由なのか、それとも曙が怖かったのか、体を斜めにして仕切っていた姿が目に焼き付いている。



そして、大一番のときに出るのが「かわづ掛け」という足ワザである。

本来、この技は、小兵力士がやる小ワザだが、優勝決定戦という大一番で横綱貴乃花を「かわづ掛け」で破り、優勝したのである。

これだって丸い土俵を利用して逃げまくり、土俵際に追い込まれ、やむにやまれずの瀬戸際のワザだった。



大型力士とは思えぬ、こうした相撲や勝ち方に、思わず笑ってしまう力士だったのである。



ついでにいえば、彼の得意としたのが、「きめ出し」とか「きめ倒し」だった。

上背があり、手足が長いから、相手力士のまわしをがばっとつかんで引っ張り込み、そのまま土俵の外に力づくで「きめ出し」たり、巨漢を利用してグチャッと相手を押しつぶす「きめ倒し」である。

ワザのキレとか、そういった相撲ではなく、言うなれば、じつにみっともない、珍妙キテレツな相撲なのである。



そういう人だから、どんな解説をするのか、と楽しみにしていたら、これがまた面白い。

脚をピーンと伸ばして「美しい四股」と人気の片山という力士がいるけれど、

アナウンサーが「ああいう四股は、ふつうの力士でもできるんでしょうか?」と、解説の音羽山に訊ねた。



「誰でもできますよ。わたしだってできますよ」

「え? 音羽山さんもできるんですか?」

「ええ、必要がないから、やらなかっただけです」

と、さも当然といわんばかりに言うので、アナウンサーも笑いをこらえていたように思えた。



現役時代の貴ノ浪の四股は、脚がほとんど上がっていなかったからである。

同部屋の貴乃花が相撲の美学を追求したのに対して、彼は、そういうことにまったく無頓着だった。

それだけにピンとまっすぐに脚を上げる四股も「できますよ」と、なに食わぬ顔をして言うからよけいにおかしい。



朝日新聞に、力士の「ひと言」という欄があるけれど、面白いコメントを言う貴ノ浪は、ここの常連だった。



「わたしの得意ワザは、肩透かしです」



これも、記者が笑いながら書いたのだと思う。

肩透かしは、大きな力士がやるようなワザではない。

なのに、平然と言うところが貴ノ浪らしいのだが、その解説がまたいい。



「大きな力士がやるから、その意外性で決まるんですよ」



そういう人の解説だから楽しみなのである。

テレビではひと場所で1度か、2度ほどしか出番がないのが、惜しい。



その音羽山は、昨日、朝青龍が花道に登場した瞬間に、

「横綱、様子がへんですよ」と言った。



アナウンサーは、「どういうことですか」と質問したら、



「オーラが見えないですよ」と言い切った。



これは一大事と、わたしは、テレビのある部屋へ飛んだ。

そして、朝青龍の様子を観た。

音羽山の言う通りだった。

仕切りに力がこもっていない。

眼に力もない。

最後の塩をとりに行くときのマワシをバーンッと力強く叩く姿もなかった。

そして、まるで相撲にもならず、安馬に負けた。



音羽山という人は現役時代は特異な力士だったが、解説は相撲通をうならせるほど鋭いのだ。

立ち合う前に、取り口の説明をすることがあるが、それがピタリと当たる。

そういうことが何度もあったから「朝青龍、へんですね」と言った瞬間に、これはただごとではないと思ったのだ。



このとき朝青龍は、すでに休場を決めていたに違いない。

あるいは、引退まで考えていたのではあるまいか。



相撲は、相手あって成り立つものである。

個性のある力士がいれば、いるほど面白くなるのが相撲である。

音羽山も現役時代は、あまり好かれる力士ではなかった。

しかし、これも個性として認めることによって、わたしは相撲の楽しみを増やした。



朝青龍の個性も、強烈である。

負けん気の強さは憎たらしいほどである。

そのスピード感バツグンの相撲も、心憎いほどだった。

そして、ワザのキレ味。

どれをとっても日本人力士はかなわなかった。

だから6場所連続優勝という偉業も成し遂げた。



そしてなにより、一人横綱で大相撲を支えてきた功労者であることを忘れてはならないし、見捨ててはならない。

それどころか、火花が散るような横綱対決を観たいではないか。

だから「朝青龍・白鵬時代」を終わらせてはならないのだ。


2008.09.23 / Top↑
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