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土曜の夕刻から遊び人が野方酒店に集った。

通称、野方ガーデンで毎夏、恒例になっている“供養祭”のためである。

釣り師や漁民が水揚げした海の幸をいただいた御礼の意味を込めて行われるが、毎年、自然発生的に開催される。

今回は、たまたま土曜日あたりがいいだろうという遊び人らの勘で、それぞれが肴の仕入れ、仕込みに走っていた。



まずは記憶にあるかぎりの料理を書いてみる。



・黒崎茶豆

・朝どりモズク

・キジハタのお造り

・アワビ刺し身、肝和え

・キジハタのあらのお吸い物、モズク入り

・夏野菜炭火焼き

・アワビの炭火焼き(通称、アワビのオンデコ)

・アワビのサイコロステーキ、ガーリック風味

・アワビと皮むきナスのトマト炒め、アワビの肝風味

・アワビと夏野菜の炒め物

・サザエの肝のだし醤油漬け

・サザエご飯ショウガ風味



お酒 

・ビール各種

・謎の酒(大吟醸クラスの原酒タイプ)

・真稜 純米大吟醸 平成13年

・真稜 純米大吟醸 平成14年

・麒麟山 大吟醸

・豊盃(青森の酒、辛口)



記憶から離れたものがあるかもしれない。

(漏れていたらごめんなさい)



これだけの料理と酒があれば、十分である。

10人ほどのメンバーなのだから腹いっぱいである。



ところが、今年は様子が違う。

自分たちで調理した料理を持ってメンバーたちが三々五々集まってきたが、誰ひとり箸をつけようとしない。

じつは、最若手の遊び人がとんでもない大物を釣り上げた、という情報が駆け巡ったのだ。

それを耳にしたとたんに上記の品書きにあるすべての料理がかすんだ。

それぞれがメインになってもいい料理なのだが、その大物のおかげで一気にぶっ飛んだのだ。



なんと、本マグロを釣り上げた、というのである。

上げたのは最年少の遊び人で、当ブログ『美しい佐渡の海で考えたこと』の中で触れた小学5年生のくりくり頭の少年である。

その少年が登場するまでは、箸をつけられない。



少年は、土曜日、朝から父親と釣り仲間のイケメン風釣り師と3人で船釣りに出たという。

10時頃、ガツンとアタリがきた。

猛烈なヒキで200メートルのラインも、アッという間にのびきったという。

マグロだ、と直感した父親はラインの先を見ながら船を操舵、とんでもない力で逃げる獲物を追った。

すかさずイケメン風釣り師がアシスタントにつくが、もちろん、竿をとることはない。

「子供であれ、最後まで自分でやらなければ意味がない」

との父親の頑なな信念である。



格闘すること約1時間。

おそらく子供にとってこの1時間はもっと長く感じたに違いない。

それでも彼は20キロ近い大物を堂々と釣り上げたというのだ。

正確な数値はわからない。

なにしろ上げた直後に父親がすぐに尾を切り落とし、シメにかかったからだ。

釣り上げることだけを目的にしているスポーツフィッシングとは違うのだ。

ヘミングウェイは『老人と海』で人とカジキを同等に扱いながら、命をかけた厳かなる闘いを描いたけれど、この少年もまた、その世界に足を踏み込んだ。





少年が登場した。

その少年と父親は、兄弟かと思うぐらいに容貌が似ている。

象の親子がそうであるように、ほぼ相似形といっていい。



「よくやった」と、祝福の拍手喝采を浴びた。



「さあ、しっかりと供養するぞ」

と、メンバーの一人が言った。

もちろん、あますことなくいただくくことが最大の供養であることを意味している。



マグロの赤身

それが、コレだ。

美しい赤身である。

さばいたのは、奇楽庵である。

上品な酸味と、ほんのりと脂があって、わたしには最高級の味だと思った。













そして、これが本マグロのカブト焼き。



マグロのカブト焼き

これも脂がいい具合にあって、うまい。

メンバーの間を何周かして、骨だけがきれいに残った。





釣り上げた本人は、寡黙である。

語らず、ニコニコしながら、遊び人オヤジ達を眺めている。

他の釣り師たちからうらやましいといわんばかりに質問攻めである。







わたしは釣りはしないので専門的なことはさっぱりわからないが、流れに沿って質問してみた。

「マグロ狙いで船を出したの?」

丸顔の父親が答える。



「違いますよ。鯛です。鯛を釣れ、鯛を釣ってこい、とうるさくいう人がいるから」



すっかり忘れていた。

川柳での大賞受賞の祝いは、マグロの赤身と鯛の白身の紅白じゃないといやだ、なんてわがままをわたしが言っていたのだ。



「じゃ、このキジハタとマグロで、紅白だ。いやいや、ありがとう」

と、写真に撮ったのがイケメン風釣り師の釣ったキジハタのお造りである。





キジハタの造りかなり酔いが回っていたようだ。

写りが悪い。

実物は白身が映えていて、赤身と並んだ姿は、まさしく紅白であった。









海の男たちは、義理堅いのだな、とあらためて思ったものである。

そして、先日亡くなった赤塚不二夫さんの忘れることができない言葉を思い浮かべていた。



「君たち、これは遊びなんだから、真面目にやろうよ」



嬉しいことに、この日、集ったメンバーはみな大真面目に遊ぶ人々だった。



今年の供養祭は、忘れられない一日となった。
2008.08.11 / Top↑
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