上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- / Top↑


人の言うことを聞かない、という人がいる。

すべて自己流を通そうとする。



蕎麦打ち名人のMさんが、このタイプである。

自分で体験したこと以外は、信じない。



だから失敗も多い。



失敗したときは、またいちからやりなおす。

やりなおして、どうしてもうまくいかない時だけ、その道のプロに教えをこう。



トビウオの焼き干しを作るときも、そうだった。

自分で大量のトビウオを仕入れて、さばき、囲炉裏で焼き干しにしてみたが、

納得のモノができない。

そこで高級料亭から予約注文が殺到しているという小木の焼き干し作りの大ベ

テランに話を聞く。

そして、その場で実際に焼き干し作りに挑戦し、自分との違いを体で覚えてき

た。

そうやって彼は自分流の蕎麦を作り上げてきたのだ。



一昨日、開かれた『新蕎麦を喰う会』は、大人13名と幼児2名が集結した。

集結と書いたのは佐渡でも秘境と言われる猿八の山の中の民家で行ったからだ。

たかが蕎麦である。

その蕎麦を喰うために、こんな山の中に集まるのだから感謝感激である。



蕎麦は、近年にないほどのよいデキである。



1997年以来、わたしはMさんの蕎麦を食べ続けているが、今年の蕎麦ほどすご

いのを知らない。

香りが高いし、なにより驚いたのは、毅然とした甘みがある。



もちろん、Mさんの手さばきは冴えに冴えていた。

もっとも難しい水回しの段階で、これはいいぞ、と気が入った後は、アッとい

う間だった。



こね、練り、のし、打つ、切る。

熱と乾燥に弱い蕎麦は、この素早い動作こそが、旨みを引きだす最大のポイン

トである。



しかも、のし終わった時の状態は、真ん丸の円になっていた。



その真ん丸の蕎麦に息をふきかけると、ふわりふわりと浮いてさざ波が起きた。

それほど薄くのされていた。



一杯目は太めに打ってもらったので、次は細い蕎麦を注文したのである。

よほどの熟練でなければ細い「十割蕎麦」は、難しい。

それを難なくこなしてくれたのだ。



ふわりふわりと浮き上がるのを見せつけたMさんは得意満面であった。



1杯目を食べ終わった後、猿八に住むひとりの男、Tさんが消えた。



しばらくして戻ってきた。

手に自然薯をぶら下げている。

掘ってきたのである。

今年、自然薯を掘るための道具を買ったばかりだという。



それをすり鉢でのばしていく。

やはり猿八在住のNさんが山椒の木でつくられた「すりこ木」を手にした。

堂に入ったもので、抑えの手がぶれない。



自然薯はかたく、しまっているために、どれだけすりをやって持ち上げても落ち

てこないほどの粘り強さである。



そこに少しずつ蕎麦つゆを入れる。

入れてはのばし、のばしては入れる。



それをくりかえしていくうちに、ふわふわとなってきた。

食べごろである。



これを冷やかけの蕎麦の上にのせて食べてみる。



甘みが一層増した。

そして、ひとすすり、ふたすすりするうちに満足感が広がり、最後のひとすす

りの頃は充足感とともに満腹感が襲ってきた。



この「自然薯のとろろそば」は、忘れられない味となった。



これぞ、山の中で蕎麦会を開く醍醐味というものである。



Tさんに感謝。







さて、蕎麦を堪能した後は、囲炉裏を囲んでの飲み会に突入した。



和歌山の銘酒『黒牛』のワンカップを30個用意した。



料理は、各自一品持ち寄ることになっているから、つまみも潤沢である。





夕刻過ぎになると、家族連れや、車を運転してきた人たちは帰宅の途についた



が、送迎付きの飲み助は、そこからが本番である。





抱腹絶倒とは、このことであろう、というほどの笑いに包まれ、腹痛と呼吸困

難に何度も襲われた。



そのひとつだけ紹介しておこう。



ある人物が、バイアグラと同じ効果のある錠剤を持ってきた。

試供品だという。

いたす30分前に服用するとよろしい、などと詳しく説明してくれる。



さて、冒頭の前置きで「人の言うことを聞かない、という人がいる」と書いた。

じつは、ここから書くことの枕として、おいた話なのである。



錠剤についての説明をしているあいだに、Mさんがその錠剤をごくりと飲み込

んでしまったのだ。



それからが、たいへんである。



時計を見ながらMさんの下半身を全員で観察しつつ、それをアシストするため

に、それぞれが艶話をすることになった。

艶話というよりも、ほとんどは艶笑譚になって、腹を抱えることになるのだが…。





「どうだ?」



「ちっともきかんちゃ」



と、言いながら、Mさんも珍しく艶っぽい話を延々とするのである。





「Mがこんな話をするなんておかしい、これ、きいとるのと違うか」



と、Nさんが、目を近づけ、じっと観察する。



近づけるだけではわからんとばかり、手で確かめる。



「やめろ、やめっちゃ」



「いいじゃないか、このあいだ、Mがインキンになったとき、おれが薬をぬっ

てやったじゃないか」



「それは30年以上も前の話だろ」



結局、真相は謎のままだが、Mさんの目は異様な輝きを見せていたことだけは

確かであった。



こうして30個のワンカップと一升の酒、ビールが5本ほど空いて、夜11時前に

お開きになった。



腹の皮がよじれるほどの笑いに襲われ、これほど苦しい蕎麦会はなかった…。



次の蕎麦会は、下界で開催する予定だと、昨日Mさんから電話があったが、

「春のおめでたい兆し」について質問するのをうっかり忘れてしまった。



その効果について興味関心のある方、次回ぜひ参加して直接、問うてみてはい

かがだろう。
2006.11.07 / Top↑
Secret

TrackBackURL
→http://noumitaran.blog109.fc2.com/tb.php/279-ce69f7a6

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。