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知人のIさんが倒れた、との電話を受けた。

連絡してきたMさんによると、脳梗塞の疑いがあるらしい。

意識が混濁していて、親しいはずの人の顔も判別できない状態だとMさんがい

うのである。

しかし、こちらから質問するとMさんも実際に病院へ行って確認していないた

めに要領の得ないこたえしかかえってこない。

「大変なことになった」と、おろおろしているだけである。



倒れたというIさんとは、しばらく会っていない。

酒席で幾度か酌み交わしたっきりで酒のない席ではお会いしたこともないのだ。

だから見舞っていいものかどうか、迷うところである。

何より状況がわからないのだ。

見舞える状況なのか、見舞えるとしても、本人が、それを望むとはかぎらない。

そっとしておいてくれたほうが、むしろありがたい、と思う病もある。



「とりあえず、両津のSさんに連絡してくれ」と、Mさんはいう。

「連絡してくれ、といっても状況がわからないうちは、あまり知らせないでお

くべきではないのか」

と言ったが、気が動転しているためか、わたしの言葉は届いていなかったよう

だ。

それから間もなくして「連絡してくれ」と頼まれたはずのSさんからメールが

届いたのである。

「いまMさんから電話があり、Iさんが倒れたと聞きました。お見舞いに行こ

うと思います」

これはまずい状況である。

Mさんは知人という知人に電話しまくっているのではないかと思われた。

そこで、Sさんに「Mさんが大変だ、大変だと騒いでいるけれども、さっぱり

要領を得ないので、Sさんが様子をうかがって冷静で客観的な情報をください」

と返信した。



Sさんから見舞いの報告の電話があったのは、翌日のことである。

Sさんによると、Iさんは、こう言っていたそうである。

「Mのバカタレ、あっちこっちに連絡しまくって、次から次と見舞いの人が来

て、大変だ。たいしたことないんだから、そっとしておいてくれ、とMに伝え

てくれ」

やっぱりか…、と、Mさんの独り合点ぶりをいまいましく思いながら、Iさん

の病状がことのほか、軽いことに安心した。

Sさんは、いま火消し作業中である。

Mさんが連絡したと思われる人に状況を説明し、見舞いはご遠慮ください、と

本人が言っております、と伝えている。



じつは、Mさんは、電話魔なのである。

かけまくるクセがあるのと、電話が長いことで有名なのである。

だから彼からの電話を「恐怖のM電」と呼び、多くの人たちがおそれているの

だ。

「あ、Mです」

と、名乗った瞬間から、うねるように話が続いていく。

さっきの話はどうなったんだろ? と思う間も与えず、違う話題へと移ってい

き、何が何だかわからない話が延々とつづくのである。

わたしは、いちど、あまりにもうんざりしたので、受話器をテーブルにそっと

置いたまま隣の部屋でテレビをみていたことがある。

しばらくしてから、いくらなんでも切れているだろうと思いながら受話器を耳

にあてたら、Mさんは、まだしゃべっていた。

「能美さん、聞いてるのんか? ちっとも返事がないもんしな」

「悪い悪い、いまトイレに行ってた」

「そうか、出たか?」

「おう、おかげさんで、快便だ」

こんな応対でもちっともめげないMさんを、わたしはこの世のものではないよ

うな気がしているのである。



そういうわけで、Iさんが無事退院したら快気祝いとともに、

「恐怖のM電阻止!」の会合を開かなければならないと画策しているのである。
2006.09.09 / Top↑
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