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「書類が整っていれば認めざるを得ない」

これが行政の一貫した態度である。

書類を重視するのは役所の仕事が、それだけ重要な役割をになっているためであり、間違

いが起これば人々の暮らしに大きな影響を与えるからである。

時には、「そんなことまで?」と思われるようなものでも役所というのは書類を求めるし、

整えるのは、そのためである。

それを効率化を求めつつ、“お役所仕事”と呼んで揶揄するが、しようがないことだと諦

めている。

ところが、今回の産業廃棄物処理施設の問題に関しては、書類の扱いが非常にずさんなの

は、どうしたことだろう。

たとえば、県の回答の[1]、[2]、[3]を、ご覧いただきたい。

(県の回答書は、ここをクリックしてください)



[1]では、平成15年12月12日以前の書類はない、と言ってる。

ここでいう平成15年12月12日の書類とは「事前協議書」と言われるもので、この書類が

県に提出されると施設建設、操業への道筋がほぼ完成、最終の段階に入ったことを示す。

これ以前の書類がないとするならば県環境センターは、越前工務店がどのような産廃処理

施設を建設しようとしたのか、わからなかったことになる。

わからないのだから、当然、県の大事な仕事である「行政指導」もできない。

だから[2]の回答は、そのツジツマ合わせのような文言にならざるをえない。



[2] 事業者が平成13年度中に西二宮地区で開催した説明会の議事録によれば、その時

点においては汚泥や廃油を取り扱う計画であったと思われますが、平成15年12月に提出さ

れた事前協議書では、これらは取扱品目に含まれていません。なお、先回もお答えしまし

たように、説明する地域の範囲は事業者が自主的に決定したものと考えています。



ここでは「自主的に」という言葉を使っているが、見方を変えれば業者が勝手に決めたと

いう意味になる。

つまり、「行政指導」という大事な役割を果たしませんでした、と佐渡保健所長はこの回

答書で恥じらいもなく高らかに言いきっていることになる。

要するに、それ以前の書類がない、というからには「行政指導」のしようがないのである。

ところが、その佐渡保健所長、環境センターが守らなければならない『新潟県産業廃棄物

処理施設の設置及び維持管理に関する指導要綱』の第1条、“目的”には、このように明

記されているのだ。



第1条(目的) この要綱は、事業者及び産業廃棄物処分業者(以下「事業者等」という。)

が行う産業廃棄物処理施設の設置及び維持管理に関し必要な指導を行うことにより、産業

廃棄物の適正処理を推進し、もって生活環境の保全及び公衆衛生の向上に資することを目

的とする。



平成15年12月12日以前の書類がないというのならば、この『指導要綱』の目的を端から実

行する気がないということになる。

少なくとも回答[2]にあるように「汚泥」と「廃油」を扱う場合には、周辺住民の同意

は絶対に必要になる。水利権者の承諾も得なければならない。

したがって越前工務店が西二宮地区だけに絞って説明会を開いたことは大きな誤りであり、

もっと広範囲に説明して周辺の関係者たちに了承を得なければならなかったのである。

本来ならば、県環境センターが越前工務店に対して「この計画では西二宮地区だけに説明

するのでは手落ちである。もっと広範囲に真光寺地区、東山田地区、さらには石田地区、

そして、石田川に排水が流れる可能性があるのだから稲作を営む人々や、漁業を営む人々

にも説明して、了承を得る必要がある」と、指導しなければならなかったはずなのである。

にもかかわらず、佐渡保健所長は厚かましくも「説明する地域は事業者が自主的に決定し

たもの」と言って、「行政指導はしていません」と自らの怠慢を認めているのだ。



ところが、奇妙なことが起こる。

越前工務店の事業計画を知らぬはずの県環境センターの鈴木センター長が平成15年10月22

日に西二宮地区の説明会にのこのこと出かけてきて、

「この施設建設には住民の同意は必要ありません」と、西二宮住民に“地獄行き”の引導

を渡したのである。

いったい、鈴木センター長は、どのような経緯で事業計画を知ったのか。

回答書には、あきれ果てた言い訳をしている。

「現在、事前協議書以前の計画内容を説明した資料は残っていませんが、手続きを代行す

るコンサルタントを通じて、正式の手続き前に事前説明を受け、その時点における計画概

要は把握しており、その内容から、県の指導要綱では当該施設の設置に当たって住民説明

や住民合意を必須とはしていないと説明したものです。」

冒頭でも書いたが、役所仕事とは書類が基本である。

書類が整っていないものに関しては、テコでも動かない。それは歯がゆいほどであるが、

それが行政の仕事である。

しかし、この越前工務店の仕事に関しては、じつにおおらかに仕事を進めているのだ。

口頭での説明で越前工務店の事業計画を把握したというのだ。

それでは、越前工務店の仕事を代行したコンサルタントは、どのように鈴木センター長に

説明したのか?

書類が残っていないのだから、その内容はまったく不明ということになる。

つまり、コンサルタントと称する者が鈴木センター長に説明したという事実、それ自体も

疑われてもしかたがないのではないか。

話し合いの内容もわからなければ、説明を受けたことも証明できないのだ。

世間一般は、これを“談合”、“密談”という。

この言葉を回答書を受け取りにいった住民が、口に出したとたんに、現在の川村センター

長は表情をこわばらせ、声を荒げて言った。

「いまの、談合という言葉、取り消して下さい」

会話の中で“談合”という言葉を使っただけで、これほどの過剰反応を示すのだ。

そのような疑いを持たれることを避けるために役所仕事というのは書類を大事にするので

はないか。

それなのに、平成15年12月12日以前の書類はない、と言い張るのである。

じつに奇妙なのである。



そこで、次に佐渡市の回答書を見ていただきたい。

(参照する場合、こちらをクリックして下さい)



[6]である。

県どころではない。ずさんのきわみである。

越前工務店が平成13年11月12日に旧佐和田町に提出した『事業計画概要』は非常に重要

な書類である。

これをもとに佐渡市(旧佐和田町)は、業者に対して「行政指導」しなければならなかっ

たのだ。

しかし、その重要書類が出てきたのは平成17年5月、前回の申し入れによって調査したと

ころ、「上層部のファイルのなかから出てきた」というのである。

じつにずさんである。

それまで佐渡市は越前工務店の事業計画を旧佐和田町が承知したのは平成14年5月と言い

きっていた。

では、その書類を出してください、と今回申し入れをしたところ、このような回答があっ

たのだ。

「当時の旧佐和田町保健福祉課の記録からそのような説明をしていたものです。」

では、その記録を見せて欲しいと、回答書を受け取りに行った場で住民が要望したところ、

出してきたのが当時の旧佐和田町保健福祉課長(当時清水課長、現佐和田支所長)のメモ

をワープロで打ち直したものである。

ここでは、わかりやすく“清水メモ”とするが、それが、これである。

メモをそのままコピーしてくれるのなら、信憑性もあるが、それをいったんワープロに打

ち直したメモは、どの程度信用してよいものかわからない。

しかし、回答書と一緒に手渡してくれたのだから佐渡市も責任をもって公開したのだろう。

その前提で読み解く。



H14年5月13日の“清水メモ”には、こう書かれている。

「あいさつと資料をおいていく」

この資料とは、何か? 

これは明らかにしてもらう必要がある。

さらに重要なメモとして「保健所はリサイクルとしてはOK」とある部分。

この時点で佐渡保健所(県環境センター)が何らかの形で越前工務店の事業計画を知って

いたことを示す重要なメモである。

いったい、どのように知ったのか?

それについて県環境センターに問いたださなければならない。

驚くのは、平成14年5月24日のメモである。

「環境センター 大沢主任にTelする」とあり、

「建物は許可なくても建てられる」という一文。

本当にそうなのだろうか。

周辺住民の不幸は、こうした曖昧なメモで仕事が進められたことである。

提出物の中にも、重大な書き込みがある。

「3、生活環境に影響する地区住民の同意→地域と越前さんと協定書を結ぶ」

やはり、この時点では「汚泥」や「廃油」を扱うために住民の同意はどうしても必要だっ

たのである。

さて、次のメモを県環境センターは、どのように説明するだろう。

「事前協議は環境センターでする」

もしこの通りに行われていたとしたならば、その時の議事録を公開してもらわなければな

らない。

どのような話し合いが行われたのか、お役所であれば、その書類は残っているはずである。

もし、ないとするならば、ただの“談合”ということになる。

ここはぜひはっきりしてもらわなければいけない。

“清水メモ”には、【町の動き】という項目がある。

例として、このように書かれている。

「説明会を西二宮地区だけでいいのか、真光寺地区もした方がいいかを会社側に助言する」

本当に助言してくれたのだろうか?

仮にしたとしても、越前工務店は、この清水課長の「助言」は一切無視したようである。

本来は「助言する」ではない。

もっと強い拘束力を持った「指導する」でなければならないはずである。

だからH15年5月27日の日付のところでは、越前工務店は、

「地区住民の同意については、西二宮のみ真光寺は生活環境に影響するとはおもはない」

(※メモのママ)

と、佐渡市(旧佐和田町)の「指導」を無視しているのである。

そして、「真光寺には生活環境に影響しない」としながら、「搬入は北線を利用したい」

と越前工務店は言ったというのである。

ここで清水課長は「北線を利用するならば、西二宮地区ではなく真光寺地区の住民に説明

会を開かなければならないのではないか。すぐにやりなさい。そうでなければこの計画は

進めることはできない」と強く“指導”すべきではなかったのか。

ところが、“清水メモ”はなんとも頼りない。

「北線を利用しての車での搬入・搬出を利用しようと考えているのであれば住民への説明

は真光寺(林・沢)にも必要ではないか?→考えてみる」

と書かれているのだ。

結果として清水課長の“指導”は無視されたまま、説明会は開かれないままであった。

にもかかわらず、旧佐和田町は県の意見照会で「何の異議もありません」と施設建設を認

めてしまったのである。



そして、この“清水メモ”に対して怒りをあらわにしているのが、隣接土地所有者の人々

である。

このメモには、実名が表記されている。

が、ここでは、念のために伏せるけれども、H14年5月27日の段階で「隣接土地所有者に

は了解を得ている」と越前工務店社長が言ったようだが、これはあり得ないことである。

少なくとも西二宮地区の隣接土地所有者たちは、平成16年10月22日まで施設建設に「絶対

反対」を表明していたのである。

隣接地土地所有者の一人は、

「絶対にあり得ない。このメモをみて、みんなに確認したが、あの時点ではだれ一人了解

した者はおらん」

と語気を強めて、このメモを公開した佐渡市に対して怒りをあらわにしているのである。

つまり、これほどいい加減な話がまかり通るのを避けるために書類というものを作成する

のではないのか。

この“清水メモ”は自分たちの仕事のいい加減さを我々に示したに過ぎないのではないか。

こんなずさんな手続きの進め方で施設建設が認められてしまった住民の怒りが、行政に向

かうのは当たり前である。

「書類が整っていれば認めざるを得ない」と言って施設建設を認めたのだから、ありった

けの書類を住民に見せていただきたい。

ことに県と市が業者に対してどのような行政指導をしたのか、そこを示す書類を示してく

れないかぎりは、我々も操業を認めるわけにはいかない。

「業者が自主的に決めた」などという逃げ口上は、怒りのピークにきている住民には通用

しないのである。

回答書を受け取った住民に対して、佐渡市の大川環境保健課長が説明に務めてくれたが、

その際、つぶやくように漏らした言葉。

「いつまで入り口論、手続き論を続けていくつもりですか。いまできあがりつつある施設

を永久にあのままにしておくわけにはいかないんですよ」

大川課長は、まだわかっていらっしゃらないようである。

行政によって騙されたと気づいた住民が、どれほど怒っているか…。
2005.07.30 / Top↑
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