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なんであれ順序というものがある。

それを踏み外すといろいろ厄介なことが起こるから、やはり順序というのは守っていた方が生きやすい。



ところが、そういう感覚が鈍いのか、行き当たりばったりに生きているからか、いつも順不同、支離滅裂になってしまって、後でたいへんな思いをする。



なんて大げさな話をしたが、これから書こうと思うのは、本の話である。



ある方から宮部みゆきの時代小説『ぼんくら』が面白いですよ、との情報が寄せられていたので、いつか読もうと思って頭の隅に置いた。



まずそれを手にすればよいものを、なにを思ったのか、『ぼんくら』の続編にあたる『日暮らし』から手をつけてしまったのだ。



これが、また面白いから、「あれ、これは続編か」とわかっていながら前へ前へと読み進めてしまった。



連作短編という体裁をとっているから、途中から読んでも理解できる構造になっているのだ。

それに主人公は同心の平四郎だが、その他、ユニークな子役や登場人物に強烈な個性があり、その人物配置、設定のうまさが際立っていて、あらゆる人物がさまざまな場面で再登場し、じつは深い関わりがあったことが明かされ、なるほど、そうだったか、と自然のうちに種明かしされていく仕掛け。



じつに巧みな筆遣いで面白く読んでしまった。





この『日暮らし』を読了後、正編にあたる『ぼんくら』を読めばいいものを、ワタクシ、これまた無頓着に山本一力の『あかね空』に手をつけてしまった。



この作品は山本一力が直木賞を受賞した作品で、いつか読もうと思ったままになっていた。

わたしはだいたいブームの時には、それに乗れない体質になっている。

みなさんが忘れた頃になって古本屋へ行って手に入れ、ツン読という類。



『あかね空』は、京都の豆腐職人が江戸の町で豆腐屋を開業するところから話が始まる。

江戸の裏長屋の職人たちの暮らしぶりが丹念に描かれていて頭の中に映像が浮かんでくるほどだ。



そして、人間の持つ、どうしようもない業のようなものに振り回される母親の描き方に、なるほどと深く感心させられ、エンターテイメントというよりも文学作品の匂いが漂う。



こちらも、たいへん面白く読んだが、さてさて、その後、しばらくして宮部みゆきの『ぼんくら』を読む。





続編と同様に連作短編なのだが『長い影』という作品がタイトル通りに長いのは、ちょっと骨だったが、さすがに面白い。



ところが、問題が発生した。

読んでいく途中、山本一力の『あかね空』の登場人物が頭の中にひょっこり顔を出してくるのだ。



次の展開を予測しながら読むのも読書の楽しみのひとつだが、こういう時こそ、あの火消しの親分に頼むのだろうな、なんて予測したら、これは『あかね空』の人物だったことに気がつき、がく然とする。



人物が錯綜し、混乱していることを自覚。



これまた妙な話だが、自覚したとたんに自信喪失。

なにがなんだか、さっぱりわからなくなるという現象が起きてくるのだ。



なにしろ『あかね空』も『ぼんくら』も、同じく時代モノで、同じく江戸庶民モノで、同じく長屋モノ。

これら同時代の人物たちがわたしの頭の中で勝手に動きだすのだ。



読むテンポに微妙な狂いが生じて、これには本当に往生した。



というわけで、やはり、本は、上・下巻とあれば、上巻から読むことである。

正・続ならば、正から読むべきである。

そして、同じ種類の小説ならば同時期に手をつけないことである。

この3点を厳に守るべきである。



なんてしたり顔で言うことではないか。

いまさら順序正しくなんて言うのは、北京五輪の際、大の大人に向かって整列しましょう、なんて国家を上げて指導しているみたいな話だ。





それにしても宮部みゆきの時代モノ、たしかに面白い。

登場人物の多さをものともしない、ストーリー展開。

おそらく連作短編とはいえ、コンテを結末まで綿密に練り上げ、しっかりと作成した上で書き始めているのだろうな、と想像する。

そうでなければ、どこかで小さなほころびが出てくるものだが、作品と作品がしっかりと連結して、最後には巨大な山脈の様相を帯びる。



それに人物に魅力がある。

主人公は面倒くさがり屋という設定。

書類を作成するのも面倒で嫌い、数字もダメ、岡っ引きを部下にするのも人間関係が面倒だと嫌う。

怠惰である。

わたしはひどく親近感を抱いてしまい、他人とは思えぬ気持ちになっているほどだ。










2009.05.08 / Top↑
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